便意について本気出して考えてみた2(著:深山)



第二ラウンド

休み時間。
休んだり、次の授業のために使う時間。

けど、今の状況でゆっくり休めるはずがない。
便意を堪えるのがこれほどまでに辛いとは思ってもみなかった。
クラスメイト達の笑い声に苛立ちは募るばかりだ。
ずっと座り続けていることに誰かが違和感を感じるとかそんなことを考える余裕はなかった。
ただ、時が経つのを待った。

やっと二時間目のチャイムが鳴ったとき、俺の体力はかなり消費されていた。


昼休みまで保つのだろうか?


その疑問が頭の中を回り続けている。
二時間目は社会。
確かに楽な授業だ。
聞いているだけでいい。

しかし、何もしなくていいと言うことは逆に辛くもあった。
便意が頭から離れない。
とにかく、今は耐えるだけだ。
そう思ったときである。

どこかから水の流れる音がする。
と同時になにやら変な空気が漂う。

音の発信源を見ると、そこには耐えきれなくて出してしまった場にそぐわない奇妙なみずたまり。
そして妙な満足感と自己嫌悪のある顔があった。

一瞬にしてその事態はクラス中に伝わるが、誰も声を出さない。

やっとの事で先生が彼女に体操服を持っているか尋ねる。
彼女が頷くと先生は彼女を連れて、保健室に向かった。
僕等には自習しときなさいと言い残して。

先生が出て行った瞬間、クラスはざわつき始める。

「まじかよ、もう小四だぜ俺たち。」

その一言を皮切りに一斉に始まる遠慮のない罵倒。
容赦のない言葉達は僕等にさらなる優越感を与え、彼女には全てを否定するみんなの侮蔑を与える。
最初はそれ程酷く言っていなかった人たちもみんなの流れに呑まれて、変わっていく。

そうして先生が帰ってこぬまま、その授業は終わった。


みんなの心の中に悪意を残して。


『衝撃の3話へ』


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